GrowthBrief

知見・解説

売上分析の方法7選|Excelでできる分析手順と改善につながる活用例

売上高を分解し、ExcelとGA4で原因を確かめて改善判断につなげる売上分析の手順を解説します。

GrowthBriefの売上分析ガイド。売上ダッシュボードを虫眼鏡で分析するイラストと「売上分析 数字を分け、改善判断へ」の文字

売上分析では、売上高だけを見るのではなく、受注件数、顧客単価、商談数、受注率、流入チャネルなどを分けて確認することが重要です。本記事では、売上が増減した事実を把握し、その要因を特定して改善施策につなげるための分析方法を7つ紹介します。Excelのピボットテーブルを使った集計手順、GA4・広告媒体・CRMの数値を確認する際の注意点、BtoB企業での活用例も解説します。結論として、売上改善には単一の数値で判断せず、集客から商談、受注、顧客別の売上までを同じ目的に沿って比較し、継続的に検証することが必要です。

売上分析とは

売上分析とは、売上高の増減を確認するだけでなく、売上が「どの商品・顧客・営業活動・販売経路によって生まれ、どの要因で変化したのか」を分解して把握する取り組みです。

売上高は、一般に受注件数と顧客単価、継続取引の有無など、複数の要素によって変化します。そのため、「前月より売上が下がった」という事実だけでは、取るべき対策を判断できません。売上分析では、確認できた数値と、数値から考えられる仮説を分けて整理し、改善が必要な箇所を特定します。

例えば、売上が減少している場合でも、商談数が減ったのか、受注率が下がったのか、既存顧客からの追加受注が減ったのかによって、検討すべき対応は異なります。営業活動の量を見直すべきケースもあれば、提案内容、価格設定、商品構成、Webサイト上の導線を見直すべきケースもあります。

売上分析の目的は、単にレポートを作成することではありません。数値を根拠にして優先課題を定め、営業、マーケティング、カスタマーサクセスなどの施策を改善し、再現性のある売上成長につなげることです。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認する観点 把握する内容 検討する改善の方向性
売上の結果 売上高、受注件数、顧客単価、前年同月比などの変化 変化が一時的か、継続的かを判断する
売上の構成 商品別、顧客別、担当者別、販売チャネル別の構成比 伸ばす領域と依存度を下げる領域を整理する
売上に至る過程 リード、商談、見積もり、受注までの件数や進捗 停滞している工程を特定する
施策との関係 広告、展示会、紹介、Webサイト、営業施策ごとの成果 予算、人員、施策の配分を見直す

なお、売上分析では、数値の変化だけで結論を急がないことが重要です。季節要因、大型案件の受注時期、契約更新月、顧客側の予算編成などによって、短期的に数値が動くことがあります。まず事実として数値を確認し、その後に変化の理由を仮説として挙げ、追加確認をしたうえで判断します。

売上分析で把握できる課題

売上分析を行うと、売上が伸びない原因や、今後の売上減少につながり得る兆候を発見しやすくなります。特に、結果としての売上高だけでは見えにくい課題を、顧客、商品、営業活動、集客施策などの切り口から整理できる点が特徴です。

代表的な課題には、次のようなものがあります。

横にスクロールして表全体を確認できます

把握できる課題 数値に表れやすい兆候 考えられる確認事項
新規受注の不足 受注件数や商談数が継続して減少している 見込み顧客の獲得数、営業への引き渡し数、商談化の状況を確認する
受注率の低下 商談数は維持されている一方で、受注件数が伸びない 提案内容、価格、競合状況、商談の質、失注理由を確認する
顧客単価の低下 受注件数は大きく変わらないが、売上高が減少している 商品構成、値引き、契約プラン、追加提案の状況を確認する
既存顧客への依存 一部の顧客が売上の大部分を占めている 主要顧客の継続見込み、新規顧客の獲得状況、顧客層の広がりを確認する
特定商品・チャネルへの偏り 特定の商品や紹介、広告などへの売上依存度が高い 利益率、再現性、代替経路の有無、投資効率を確認する
営業機会の取りこぼし 問い合わせはあるが、商談や受注につながっていない 初回対応の速さ、顧客情報の共有、フォローの実施状況を確認する

ここで重要なのは、数値を原因そのものとして扱わないことです。例えば受注率が低下したという数値は事実ですが、その原因が価格にあるのか、提案内容にあるのか、案件の難易度にあるのかは、数値だけでは確定しません。営業担当者へのヒアリング、失注理由、顧客の問い合わせ内容などもあわせて確認し、仮説の精度を高めます。

また、売上が増加している場合にも分析は必要です。大型顧客からの一時的な受注による増加なのか、複数の顧客・商品・チャネルで成果が出ているのかによって、次に取るべき行動は異なります。売上が良い時期に成長要因を把握しておくことは、再現性のある施策を作るうえで重要です。

BtoB企業で売上分析が重要な理由

BtoB企業では、顧客の検討期間が長く、関係者も複数になりやすいため、問い合わせから受注までに時間がかかる傾向があります。さらに、1件あたりの契約金額が大きい場合は、少数の案件や既存顧客の動きによって月ごとの売上が大きく変動することがあります。

このような事業では、月末に売上高だけを確認しても、問題への対応が遅れるおそれがあります。受注前の段階にある見込み顧客、商談、提案、見積もりなどの進捗を確認し、将来の売上につながる兆候を早めに把握することが必要です。

例えば、受注は維持できていても、商談数や資料請求数が減少している場合、数か月後の受注減少につながる可能性があります。一方で、問い合わせ数が増えていても、商談化率が低ければ、集客施策だけを拡大しても売上改善につながらないことがあります。

BtoB企業の売上分析では、マーケティング部門、営業部門、カスタマーサクセス部門などが、それぞれの数値を別々に見るのではなく、顧客が受注に至る流れとして捉えることが重要です。

横にスクロールして表全体を確認できます

部門・役割 主に確認する内容 売上分析における役割
マーケティング 見込み顧客の獲得、Webサイト経由の問い合わせ、施策別の反応 商談につながる見込み顧客を増やす
営業 商談数、提案状況、受注率、失注理由、受注金額 案件を前進させ、受注につなげる
カスタマーサクセス・既存顧客担当 契約継続、追加受注、解約兆候、利用状況 既存顧客の売上維持と拡大を支える

部門ごとに使うシステムや数値の定義が異なる場合は、単純に数値を比較しないよう注意が必要です。例えば、Webサイト上の問い合わせ件数、営業が有効と判断した見込み顧客数、CRMで管理する商談数は、同じ「リード」や「案件」と呼ばれていても、集計条件や更新時点が異なることがあります。

そのため、BtoB企業では売上の結果と、売上に至る過程の数値を共通の基準で確認できる状態を整えることが、適切な判断の前提になります。売上分析を継続することで、どの施策が商談や受注につながっているのか、どの工程に優先的な改善が必要なのかを判断しやすくなります。

売上分析を始める前に確認するデータと指標

売上分析では、最初に「何を売上として集計するか」と「どの数字を改善対象にするか」をそろえる必要があります。売上高だけを前月と比較しても、受注件数・顧客単価・商談数・Webサイトからの問い合わせ数などの内訳が不明なままでは、変化の要因を判断できません。

まず、確認できた事実と、そこから導く仮説を分けて整理します。たとえば、売上高が前年同月比で減少していることは事実ですが、その原因が商談数の減少なのか、受注率の低下なのか、顧客単価の変化なのかは分析後の仮説です。数値の変化と原因の推測を混同しないことが、再現性のある売上改善につながります。

分析を始める前に、販売管理システム、CRM、広告媒体、GA4などから取得するデータについて、集計期間・更新時点・担当部署・定義を確認しましょう。特にBtoB企業では、問い合わせから受注までに期間が空くため、問い合わせ発生日、商談化日、受注日、売上計上日を区別して扱うことが重要です。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 確認する内容 確認しない場合に起こりやすい問題
集計対象 売上高に税抜・税込、返品・値引き、継続契約分を含めるか 期間比較や部門比較で数値の前提がそろわない
日付の基準 受注日、納品日、請求日、売上計上日のどれで集計するか 営業活動の成果と会計上の売上が混在する
比較期間 前週比、前月比、前年同月比、施策実施前後のどれを比較するか 季節性や営業日数の差を見落とす
集計単位 商品、顧客、営業担当、流入チャネル、地域、業種など 改善すべき対象を特定できない
更新時点 各システムのデータ確定日、抽出日時、遅延計上の有無 同じ期間でもレポートごとに数値が異なる

売上高と受注件数と顧客単価

売上分析の基本は、売上高を受注件数と顧客単価に分解することです。一般的には、次の式で関係を確認できます。

売上高 = 受注件数 × 顧客単価

売上高が増減した場合は、受注件数と顧客単価のどちらが変化したのかを確認します。受注件数が増えているのに売上高が伸びない場合は、低価格商品の構成比が高まった、値引きが増えた、既存顧客の購入額が減ったといった可能性があります。一方、受注件数が減っていても顧客単価が上がっている場合は、高単価商材への販売集中や契約内容の変化を確認する必要があります。

横にスクロールして表全体を確認できます

指標 基本的な計算式 確認する観点
売上高 対象期間の売上金額の合計 予算・前年同月・前月との増減
受注件数 対象期間の受注数 案件数の増減、商品別・顧客別の偏り
顧客単価 売上高 ÷ 受注件数 値引き、商品構成、契約期間、アップセルの影響
顧客あたり売上高 売上高 ÷ 購入顧客数 既存顧客の深耕状況、顧客層ごとの差

ここでいう顧客単価は、1受注あたりの金額として扱うのか、1社あたりの期間売上として扱うのかを明確にします。名称が同じでも計算式が異なると、営業部門とマーケティング部門で判断がずれるため、レポート内に定義を記載しておくと安全です。

商談数と受注率とリード数

BtoB企業では、売上高だけでなく、売上に至るまでの営業プロセスを数値で確認します。代表的な流れは、リード獲得、商談化、見積提出、受注です。ただし、リードや商談の定義は企業ごとに異なるため、CRM上のステータスと運用ルールを先に確認してください。

横にスクロールして表全体を確認できます

指標 計算例 分析時の注意点
リード数 新規に獲得した見込み顧客数 重複登録、既存顧客、営業対象外の問い合わせをどう扱うか決める
商談数 商談化条件を満たした案件数 初回接触だけで商談とするのか、課題・予算・決裁者を確認後にするのかを統一する
商談化率 商談数 ÷ リード数 × 100 流入チャネル、資料請求内容、業種別に差があるかを見る
受注率 受注件数 ÷ 商談数 × 100 失注理由、営業担当、商品、商談開始月別に確認する
平均受注単価 受注金額 ÷ 受注件数 受注率だけでなく、利益や契約期間への影響も別途確認する

たとえばリード数が増えても商談数が増えていない場合、集客量ではなくリードの質、問い合わせフォームの設問、初回対応の速さなどに課題がある可能性があります。反対に、商談数は増えているのに受注率が低下している場合は、提案内容、価格、競合状況、対象顧客の条件などを確認する判断が必要です。

なお、受注率を算出する際は、同じ期間に発生した商談と受注を単純に割らないほうがよいケースがあります。商談開始から受注まで数か月かかる場合は、商談開始月ごとに受注状況を追うコホート形式で確認すると、営業プロセスの実態を把握しやすくなります。

GA4で確認する集客とサイト内行動とコンバージョン

GA4は、Webサイト経由の売上機会を分析するためのデータ源です。ただし、GA4だけでBtoBの最終受注を完全に把握できるとは限りません。GA4では集客、サイト内行動、問い合わせや資料請求などのコンバージョンを確認し、CRMの商談・受注データと組み合わせて判断します。

確認の順序は、集客、ページ、行動、コンバージョンの順にそろえると、数値変化を改善仮説につなげやすくなります。たとえば問い合わせ数が減少した場合、流入数の減少、特定ランディングページの閲覧減少、フォーム到達率の低下、フォーム送信率の低下という順に切り分けます。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認段階 主な確認項目 売上分析へのつなげ方
集客 セッション数、ユーザー数、参照元、メディア、キャンペーン 商談化しやすい流入チャネルを見つける
ページ ランディングページ、閲覧数、離脱傾向、導線 流入後に検討を妨げているページを特定する
行動 料金ページ閲覧、事例閲覧、資料ページ到達、フォーム開始などのイベント 問い合わせ前の行動を把握し、必要な情報や導線を検討する
コンバージョン 問い合わせ送信、資料請求完了、セミナー申込完了などのキーイベント 流入別・ページ別のリード獲得効率をCRMの商談化状況と照合する

GA4でイベントを確認する際は、イベント名だけで判断せず、発火条件を確認します。たとえばフォーム送信完了ページの表示を問い合わせとして計測するのか、送信ボタン押下を計測するのかで、数値の意味が変わります。売上分析の対象にするイベントは、事業上の重要な成果を示すものをキーイベントとして設定し、資料請求、問い合わせ、見積依頼などを区別して管理します。

また、比較前には対象期間、プロパティのタイムゾーン、イベントとキーイベントの定義、同意設定の影響、しきい値によるデータ制限、「(other)」への集約、欠損の有無を確認します。GA4ではデータの処理中に数値が変わることがあり、キーイベントの帰属も後から更新される場合があります。詳細はGoogle Analytics ヘルプのデータの鮮度に関する説明を確認してください。

同意取得の設定によっては、利用者の選択に応じて取得できるデータの範囲が変わります。そのため、期間の途中で同意バナーやタグ設定を変更した場合は、変更前後の数値を単純比較せず、計測条件の変更として記録します。Googleの同意モードに関する説明も確認し、データ量の変化を施策効果と断定しないことが大切です。

広告媒体とCRMの数値を同一視しない理由

Google 広告などの広告媒体、GA4、CRM、販売管理システムでは、同じ「コンバージョン」や「売上」という名称でも、計測対象や集計条件が異なることがあります。そのため、各ツールの数値が一致しないこと自体を異常と決めつけるのではなく、どの条件で数えた数値なのかを確認してから比較する必要があります。

横にスクロールして表全体を確認できます

データ元 主に把握する数値 差異が生じる主な確認項目
広告媒体 広告クリック、広告経由のコンバージョン、広告費 広告クリックの計測条件、コンバージョン計測期間、帰属モデル、アカウントのタイムゾーン
GA4 流入、サイト内行動、イベント、キーイベント イベントの発火条件、同意設定、プロパティのタイムゾーン、データ処理状況
CRM リード、商談、失注理由、受注見込み、受注 重複統合のルール、ステータス更新日、担当者の入力状況、流入元の引き継ぎ方法
販売管理システム 受注金額、売上高、請求額、返品・値引き 売上計上基準、取消・返品の反映時点、税区分、更新締切

たとえば、広告媒体では広告接触後のコンバージョンに成果が配分され、GA4ではプロパティの設定に基づく帰属で表示されるため、同じ問い合わせでも件数や媒体別の配分が異なることがあります。また、GA4のプロパティとGoogle 広告アカウントでタイムゾーンが異なる場合も、日別集計に差が出る可能性があります。設定の違いについては、Google Analytics ヘルプのアトリビューション設定に関する説明を確認してください。

実務では、広告媒体は広告配信の最適化、GA4はWeb上の行動分析、CRMは商談・受注の評価、販売管理システムは売上計上の確認というように役割を分けます。そのうえで、問い合わせID、会社名、流入元、キャンペーン名、初回問い合わせ日などを可能な範囲で連携し、最終的にどの流入が商談・受注につながったのかを確認します。

数値に差異が見つかった場合は、差異を埋めること自体を目的にせず、計測条件、更新時点、帰属条件、重複除外のルールを記録します。次に、担当者と確認期限を決め、タグ設定、CRM入力ルール、データ連携のいずれを見直すべきかを判断しましょう。

売上分析の方法7選

売上分析では、最初に確認できた事実を整理し、その後に要因の仮説を立てます。売上が増減したという結果だけで判断せず、「いつ」「何が」「誰に」「どの経路で」売れたのかを切り分けることが重要です。

分析方法ごとに見える課題は異なります。目的に合わない切り口を選ぶと、数値の変化は把握できても、次に取るべき改善策を決めにくくなります。まずは、各手法で確認できる内容を整理します。

横にスクロールして表全体を確認できます

分析方法 主に確認すること 活用しやすい場面
売上推移分析 売上の時系列変化 増減の発生時期や季節性を把握したい場合
予実分析 計画と実績の差 目標未達の原因と対応優先度を決めたい場合
商品別分析 商品・サービスごとの売上構成 注力商材や改善対象を選びたい場合
顧客別分析 顧客ごとの売上や取引状況 既存顧客への営業施策を見直したい場合
チャネル別分析 販売経路・集客経路ごとの成果 営業、Web、紹介などの配分を判断したい場合
RFM分析 顧客の購入時期・頻度・金額 顧客の状態に応じて施策を変えたい場合
ABC分析 売上への貢献度の優先順位 限られた営業・販促資源を配分したい場合

売上推移分析

売上推移分析は、日次・週次・月次・四半期などの単位で売上高の変化を追う方法です。売上が上がった、または下がった時期を特定し、変化のきっかけを確認します。

たとえば、前年同月比では売上が伸びていても、前月比では減少している場合があります。単一の比較だけでは結論を急がず、前期比・前年同月比・目標比を並べて見ることが大切です。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 確認する理由 考えられる分析の方向性
売上高 全体の増減を把握するため 増減した月や週を特定する
受注件数 売上変化が件数によるものかを確認するため 商談数や受注率の変化を確認する
顧客単価 1件当たりの売上変化を確認するため 商品構成、値引き、契約内容を確認する

売上高は、一般に「受注件数×顧客単価」として分解できます。売上が減少している場合は、受注件数が減ったのか、顧客単価が下がったのかを分けて確認します。事実として数値の変化を把握した後、キャンペーン実施、価格改定、営業体制の変更、顧客の購入時期の偏りなどを仮説として検討します。

判断する際は、季節要因や大型案件の有無も確認します。特定月の売上だけで施策の成否を断定せず、複数期間の傾向と内訳を見て、追加調査が必要かを決めます。

予実分析

予実分析とは、予算や売上計画と実績を比較し、差額と達成率を確認する方法です。目標に届いたかどうかだけでなく、未達または超過がどの要因で起きたのかを明らかにします。

達成率は「実績売上÷計画売上×100」で計算できます。ただし、達成率だけでは対策を決められません。売上を構成する受注件数、顧客単価、商談数、受注率などに分解して確認します。

横にスクロールして表全体を確認できます

比較項目 確認する事実 次に検討する仮説
売上高 計画との差額・達成率 未達が一時的か継続的か
受注件数 計画した受注数との差 商談数不足か受注率低下か
顧客単価 想定単価との差 上位プランの提案数や値引きの影響
案件別の進捗 受注予定案件の遅延・失注状況 見込み時期や案件確度の見直し

たとえば売上未達が確認された場合、すぐに広告出稿や値引きを増やすのではなく、未達額がどの商品、顧客区分、営業担当、販売経路に集中しているかを確認します。未達の事実と原因の仮説を混同しないことが、適切な判断につながります。

改善アクションは、担当者と期限を決めて記録します。「既存顧客への追加提案を行う」「受注予定日の更新ルールを統一する」といった行動に落とし込み、次回の予実分析で結果を検証します。

商品別分析

商品別分析は、商品、サービスプラン、カテゴリーごとに売上高、販売数、顧客単価、利益率などを比較する方法です。どの商品が売上を支えているか、どの商品に改善余地があるかを把握できます。

売上高が大きい商品が、必ずしも優先すべき商品とは限りません。販売数は多いものの値引きが多い商品、販売数は少なくても継続契約につながりやすい商品など、事業の方針によって評価が変わります。

横にスクロールして表全体を確認できます

見る指標 把握できる内容 活用例
商品別売上高 売上への貢献度 重点的に販促する商品を選ぶ
販売数・受注件数 需要の大きさ 提案機会や在庫・提供体制を見直す
平均販売単価 価格や契約内容の変化 アップセル・クロスセルの余地を確認する
解約・継続状況 継続利用される商品の傾向 導入支援やサポート内容を見直す

分析では、商品名の表記ゆれを事前に整えます。たとえば「スタンダードプラン」「標準プラン」「Standard」といった表記が混在すると、集計結果が分散します。商品コードや統一した分類ルールを用意し、同じ基準で比較できる状態にします。

商品別の売上低下が見られた場合は、販売価格だけでなく、提案数、商談化率、競合商品の状況、顧客が利用する機能や用途も確認対象にします。

顧客別分析

顧客別分析は、顧客ごとの売上高、受注回数、契約継続期間、購入商品などを比較する方法です。既存顧客への営業やカスタマーサポートの優先順位を考える際に役立ちます。

BtoB企業では、少数の顧客が売上の大きな割合を占めることがあります。そのため、上位顧客の売上だけでなく、売上の集中度や取引の継続性も確認します。特定顧客への依存が大きい場合は、売上が安定して見えてもリスクが残る可能性があります。

横にスクロールして表全体を確認できます

顧客別の切り口 確認する内容 判断後のアクション例
売上高 主要顧客と売上構成比 定期的なフォローや契約更新の確認を行う
受注回数 リピート購入の状況 購入間隔に応じた提案時期を検討する
購入商品 顧客ごとの利用範囲 関連商品や上位プランの提案候補を整理する
最終受注日 取引が停滞している顧客 失注理由や利用状況を確認して連絡方針を決める

顧客別分析では、企業単位で見るのか、担当部署や拠点単位で見るのかを先に決めます。請求先と実際の利用部門が異なる場合は、分析単位が混ざらないように注意が必要です。

売上が下がった顧客が見つかった場合、その顧客の予算縮小と決めつけることはできません。契約更新の時期、利用人数、発注方法、担当者変更などを確認し、売上減少の背景を個別に確かめたうえで対応方針を決めます。

チャネル別分析

チャネル別分析は、営業担当、Webサイト、展示会、紹介、パートナー企業、メールマガジンなど、販売または集客の経路ごとに売上や受注状況を比較する方法です。どの経路に人員や予算を配分するかを判断する材料になります。

チャネルごとに確認する指標は、売上高だけではありません。リード数、商談数、受注件数、受注率、顧客単価、受注までの日数などを並べると、経路ごとの特徴を把握しやすくなります。

横にスクロールして表全体を確認できます

チャネル 主な確認指標 確認時の注意点
営業担当 商談数、受注率、受注額 担当する案件規模や顧客条件も考慮する
Webサイト 問い合わせ数、商談化数、受注額 流入から受注までの期間差を確認する
展示会・セミナー 獲得名刺数、商談化率、受注率 開催日だけでなく後続フォローの結果も見る
紹介・パートナー 紹介数、受注率、顧客単価 紹介元ごとの条件や案件の質を確認する

チャネル別の数値を比較する際は、集計条件をそろえます。たとえば、広告媒体のコンバージョン数とCRMのリード数は、計測対象、重複除外、更新時点、帰属条件が異なる場合があります。そのため、数値の差だけでどちらが正しいと断定せず、各データの定義を確認します。

判断では、短期の受注額だけでなく、商談化率や継続受注の傾向も見ます。受注までに時間がかかるチャネルを短期間の売上だけで停止すると、将来の商談機会を減らす可能性があるためです。

RFM分析

RFM分析は、顧客を「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標で分類する方法です。顧客の状態に応じて、連絡や提案の内容を変える際に活用できます。

横にスクロールして表全体を確認できます

指標 意味 確認する目的
Recency 最後に購入・契約した時期 最近取引がある顧客かを確認する
Frequency 一定期間内の購入・受注回数 継続的に取引がある顧客かを確認する
Monetary 一定期間の購入金額・売上高 売上への貢献度を確認する

たとえば、最終購入日が新しく、購入頻度と購入金額も高い顧客は、関係維持を優先する対象として考えられます。一方で、過去には継続的な取引があったものの、最近の購入がない顧客は、利用状況や失注理由を確認する候補になります。

ただし、BtoBでは年次契約や大型案件などにより、購入頻度が低くても重要な顧客があります。RFM分析の点数だけで優先順位を固定せず、契約期間、更新予定日、商談状況、担当者の所見も合わせて判断します。

RFM分析は顧客を機械的に評価するためではなく、顧客ごとに適した対応を考えるための整理方法です。分類後は、既存顧客への定期フォロー、再提案、導入支援など、具体的な施策につなげます。

ABC分析

ABC分析は、売上高や販売数の大きい順に商品・顧客・営業案件などを並べ、全体に占める構成比と累積構成比から重要度を分類する方法です。一般的には、売上への貢献度が高い順にA、B、Cのグループに分けます。

分類の境界は、事業の目的に応じて設定します。たとえば、累積売上構成比が高い対象をA、次の範囲をB、それ以外をCとする考え方がありますが、区分の割合を一律に決める必要はありません。

横にスクロールして表全体を確認できます

分類 特徴 主な検討事項
Aグループ 売上への貢献度が高い 供給体制、顧客対応、継続提案の優先度を高める
Bグループ 一定の売上貢献があり、伸長余地を確認しやすい 販売機会の拡大や提案方法の改善を検討する
Cグループ 売上構成比は相対的に低い 維持コスト、将来性、戦略上の役割を確認する

ABC分析では、Cグループを不要と判断しないことが重要です。新規商品、成長途中の顧客、小規模でも利益率が高い案件などは、現時点の売上構成比だけでは評価しきれません。

まずは売上構成比という事実を確認し、その後に利益率、成長率、契約継続性、戦略上の重要性を加えて判断します。限られた営業・販促資源をどこに優先配分するかを決めるために、ABC分析を活用します。

Excelで売上分析を行う手順

Excelを使った売上分析では、最初に確認できた事実を整理し、その後に要因の仮説と改善アクションを検討します。いきなりグラフを作成するのではなく、分析の目的、確認する指標、集計条件をそろえることが重要です。

特にBtoB企業では、売上高だけを見ると、商談数の減少、受注率の低下、既存顧客の購入額減少といった原因を見落とす可能性があります。売上を構成するデータを分解し、同じ条件で継続的に比較できる状態をExcel上で整えましょう。

分析目的と改善したいKPIを決める

まず、「何のために売上分析を行うのか」を明確にします。目的が曖昧なままデータを集計すると、確認項目が増える一方で、改善判断につながりにくくなります。

たとえば、売上が前年同月より減少している場合でも、確認したい内容は状況によって異なります。新規顧客の獲得を増やしたいのか、受注率を高めたいのか、既存顧客の売上を維持したいのかによって、優先して見るKPIが変わります。

横にスクロールして表全体を確認できます

分析の目的 主に確認するKPI 判断につながる観点
売上減少の原因を把握する 売上高、受注件数、顧客単価、受注率 件数・単価・成約率のどこに変化があるか
新規顧客を増やす リード数、商談数、受注件数、新規顧客数 集客から受注までのどこで減少しているか
営業活動の効率を高める 商談数、受注率、営業担当者別売上、商談期間 成果が出ている営業プロセスを再現できるか
既存顧客の売上を伸ばす 顧客別売上、購入回数、平均購入額、継続率 優先的にフォローすべき顧客層はどこか

KPIは、売上高のような最終成果だけでなく、その手前にある行動指標も設定します。たとえば、売上高を改善したい場合は、「商談数を増やす」「受注率を改善する」「顧客単価を上げる」といった分解ができます。

分析の開始時点で、確認する事実、判断する担当者、判断する期限、実行する次のアクションを決めておくことが、集計だけで終わらない売上分析につながります。

売上を分解する基本式を確認する

売上高は、一般的に「受注件数×顧客単価」で把握できます。さらに受注件数は、「商談数×受注率」として分解できます。自社の営業プロセスに合わせて、どの段階の数字を管理するかを決めましょう。

横にスクロールして表全体を確認できます

指標 基本的な計算式 確認する意味
売上高 受注件数×顧客単価 売上規模の変化を確認する
受注件数 商談数×受注率 営業機会と成約状況を確認する
受注率 受注件数÷商談数×100 商談の質や営業プロセスを確認する
顧客単価 売上高÷顧客数 提案内容や商品構成の変化を確認する

販売データとGA4データとCRMデータを整理する

次に、売上分析に使うデータを整理します。Excelでは、販売管理システム、SFA・CRM、Webサイトの計測ツールなどから出力したCSVファイルをもとに、分析用の一覧表を作成します。

データを統合する前に、各データが何を基準に記録しているかを確認してください。たとえば、販売データは「受注日」、CRMデータは「商談作成日」、Webサイトのデータは「問い合わせ発生日」を基準としている場合があります。同じ月の数値でも対象期間が異なると、単純に比較できません。

分析用データにそろえたい基本項目

横にスクロールして表全体を確認できます

データ区分 主な項目 確認するポイント
販売データ 受注日、売上金額、商品名、顧客名、担当者 売上をいつ計上したか、返品・値引きを含むか
CRMデータ リード獲得日、商談化日、受注日、失注理由、流入元 リード・商談・受注の定義が統一されているか
GA4データ セッション、流入チャネル、ランディングページ、キーイベント 確認対象のイベント、比較期間、タイムゾーン、同意設定の影響
広告データ 広告費、クリック数、表示回数、コンバージョン数、媒体名 媒体ごとの計測条件と成果の帰属条件

Excelの分析用シートでは、日付の形式、顧客名の表記、チャネル名、商品名を可能な範囲で統一します。たとえば、「Google広告」「Google Ads」「リスティング広告」が別々の表記になっている場合、同一チャネルとして集計できるように変換表を用意します。

顧客名についても、「株式会社」を含めるか、省略するかといった表記ルールをそろえます。ただし、異なる法人を誤って同一顧客として扱わないよう、顧客コードがある場合は顧客コードを集計の基準にします。

広告媒体、GA4、CRM、販売管理システムの数値が一致しない場合でも、直ちに誤りと判断せず、対象期間、更新時点、計測条件、帰属条件を確認します。それぞれのツールは集計の目的や記録のタイミングが異なるため、数値差が生じることがあります。

Excelで分析用のテーブルを作成する

元データを貼り付けたら、範囲を選択して「テーブルとして書式設定」を実行します。テーブル化すると、データの追加時に集計範囲が広がりやすくなり、フィルターやピボットテーブルでも扱いやすくなります。

列名は途中で変更せず、1行目に固定します。結合セル、空白行、集計用の小計行が混在していると、ピボットテーブルで正しく集計できないことがあるため、分析用データには含めないようにします。

比較期間とセグメントを設定する

売上分析では、単月の数値だけで判断しないことが重要です。前月、前年同月、四半期累計などと比較し、季節性や一時的な変動を切り分けます。

比較期間は、事業の受注サイクルに合わせて設定します。たとえば、受注まで数か月かかる商材では、問い合わせ数が増えた月と売上が増える月が一致しない場合があります。そのため、短期の変化だけで施策の成果を断定しないようにします。

比較条件をそろえる

横にスクロールして表全体を確認できます

比較方法 向いている確認内容 注意点
前月比較 直近の施策変更や営業活動の変化 月の日数や営業日数の差を考慮する
前年同月比較 季節要因を含む売上の増減 商品構成や価格改定などの変化を確認する
四半期比較 中期的な営業施策や予算進捗 月ごとのばらつきだけで判断しない
累計比較 年間目標に対する進捗 計上基準を同一にそろえる

次に、売上を分けて見る単位であるセグメントを設定します。代表的なセグメントには、商品別、顧客別、地域別、営業担当者別、流入チャネル別、新規・既存別などがあります。

すべての切り口を一度に確認すると判断が難しくなるため、目的に合わせて優先順位をつけます。たとえば、売上減少の原因を探る場合は、まず月別の売上推移を確認し、その後に商品別、顧客別、担当者別へと分解します。

分析前に記録しておく確認条件

比較結果の再現性を保つため、Excelの別シートに集計条件を記録しておきます。担当者が変わっても、同じ条件で数値を確認できるようになります。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 記録する内容
対象期間 開始日、終了日、前月比較か前年同月比較か
売上の基準 受注日基準、売上計上日基準、税抜・税込の別
対象範囲 新規・既存の区分、対象商品、対象部門、対象チャネル
除外条件 取消、返品、テストデータ、社内利用分の扱い
データ更新日 各データを取得・出力した日時

ピボットテーブルで流入別と顧客別に集計する

データの準備ができたら、ピボットテーブルを使って売上を集計します。ピボットテーブルは、複数の条件を切り替えながら、売上高、受注件数、顧客数などを確認できるExcelの機能です。

まずは、月別の売上高と受注件数を集計し、全体の変化を把握します。その後、流入チャネル別、顧客別、商品別などの切り口で集計し、どこに増減要因があるかを確認します。

流入別の集計手順

流入別の成果を確認する場合は、CRM上の流入元、またはWebサイトで取得した流入チャネルをもとに集計します。行には流入チャネル、値には売上高・受注件数・商談数を配置します。

流入別に売上高だけを見るのではなく、商談数や受注率もあわせて確認します。流入数が多くても受注につながっていない場合は、ターゲット設定、広告訴求、ランディングページ、営業への引き継ぎなどに改善余地がある可能性があります。

横にスクロールして表全体を確認できます

ピボットテーブルの項目 設定例 確認できること
行 流入チャネル 自然検索、広告、メール、紹介などの成果差
列 受注月 チャネル別の月次推移
値 売上高、受注件数、商談数 売上規模と営業プロセスの変化
フィルター 新規・既存、商品カテゴリ、担当部門 特定条件に絞った比較

顧客別の集計手順

顧客別の集計では、顧客ごとの売上高、受注件数、購入した商品、前回受注日などを確認します。上位顧客への依存度、売上が減少した顧客、継続購入が止まっている顧客を把握する際に役立ちます。

顧客別売上を集計した後は、売上構成比も確認します。少数の顧客に売上が偏っている場合は、重要顧客へのフォローを強化する判断と、新規顧客の獲得や既存顧客の育成を進める判断を分けて検討できます。

計算列を追加して分析しやすくする

ピボットテーブルだけで不足する場合は、元データに計算列を追加します。たとえば、受注率や前年同月比を算出することで、単なる売上金額の比較よりも変化の要因を把握しやすくなります。

横にスクロールして表全体を確認できます

計算項目 計算例 活用場面
前年同月比 当月売上÷前年同月売上×100 前年同月からの伸び率を確認する
売上構成比 顧客別売上÷全体売上×100 売上の依存度を確認する
受注率 受注件数÷商談数×100 商談の成約状況を確認する
顧客単価 売上高÷顧客数 取引規模の変化を確認する

グラフで売上変化と要因を可視化する

ピボットテーブルで数値を集計した後は、目的に応じたグラフを作成します。グラフは見栄えを整えるためではなく、売上変化、構成比、増減要因を関係者間で共有しやすくするために使います。

1つのグラフに情報を詰め込みすぎると、かえって判断しにくくなります。グラフごとに確認したい問いを1つに絞り、タイトルにも比較期間と指標を明記します。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認したい内容 適したグラフ 作成時のポイント
月ごとの売上推移 折れ線グラフ 前年同月や目標値を並べて表示する
商品別・顧客別の売上比較 横棒グラフ 売上順に並べ、上位項目を見やすくする
チャネル別の売上構成 積み上げ縦棒グラフ 月ごとの構成変化を確認する
売上と受注件数の関係 組み合わせグラフ 売上高と件数で単位が異なる場合は第2軸を検討する

数値の変化を改善仮説につなげる

グラフを確認したら、事実と仮説を分けて記録します。「自然検索からの商談数が減少した」は事実ですが、「検索順位が下がったためである」は確認が必要な仮説です。仮説を事実のように扱わないことで、誤った施策判断を避けやすくなります。

横にスクロールして表全体を確認できます

整理の区分 記載例
事実 2026年9月の受注件数は、2026年8月より減少している
分析・仮説 特定チャネルからの商談数減少が、受注件数の減少に影響している可能性がある
判断 商談数が減少したチャネルを優先して詳細確認する
アクション 担当者を決め、流入データと商談化状況を確認し、改善案を設定期限までに作成する

売上が変化した際は、売上高だけでなく、受注件数、顧客単価、商談数、受注率を順に確認します。たとえば、売上高が減少していても、受注件数が横ばいで顧客単価だけが下がっている場合は、値引き、商品構成、契約プランなどを確認する必要があります。

Excelでの売上分析は、数字の増減を確認する作業ではなく、変化の要因を切り分け、優先順位をつけて改善行動につなげるための作業です。分析結果には、次に確認するデータ、担当者、期限、実施する施策をあわせて記録しましょう。

GA4を活用した売上分析の確認順序

GA4で売上分析を行う際は、最初に集客数だけを見るのではなく、「どの流入が、どのページを経由し、どの行動をした結果、問い合わせや資料請求につながったのか」を順番に確認します。流入、サイト内行動、コンバージョンの順に確認すると、数値の変化を売上改善の仮説へつなげやすくなります。

ただし、GA4はWebサイト上の行動を計測するツールであり、商談化や受注のすべてを単独で判断できるわけではありません。GA4で把握する事実と、営業担当者のヒアリングやCRMで確認する商談状況を分けて扱うことが重要です。

集客で確認する流入チャネルとユーザー属性

最初に、サイトへどのような経路でユーザーが訪れたかを確認します。BtoB企業では、自然検索、Google広告、メールマガジン、外部メディア、SNS、他社サイトからの参照などで、問い合わせに至る確率が異なる場合があります。

GA4の「トラフィック獲得」では、セッションを基準として流入元を確認できます。新規ユーザーの獲得経路を中心に見たい場合は「ユーザー獲得」、再訪を含むセッションごとの流入成果を見たい場合は「トラフィック獲得」を使い分けます。両レポートは対象範囲が異なるため、同じ数値として比較しないようにします。流入レポートの考え方はGoogle アナリティクス ヘルプのユーザー獲得レポートとトラフィック獲得レポートの解説で確認できます。

確認前にそろえる分析条件

流入別の成果を比較する前に、分析条件を固定します。比較対象の期間、GA4プロパティのタイムゾーン、対象とするキーイベント、UTMパラメータの命名ルールをそろえなければ、前月比や施策別の判断がぶれます。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 確認する内容 確認が必要な理由
分析目的 問い合わせ増加、資料請求増加、商談化率改善など 見るべき指標と比較する流入を決めるため
比較期間 前月、前年同月、施策実施前後など 季節性や営業日数の差を考慮するため
キーイベント 問い合わせ完了、資料請求完了、セミナー申込完了など 売上につながる行動を一貫した条件で集計するため
流入分類 チャネル、参照元、メディア、キャンペーン 広告、自然検索、メールなどの成果を区別するため
計測環境 同意取得の設定、タグの設置状況、社内アクセス除外 データの欠損や意図しない流入を把握するため

流入チャネルごとに見る指標

確認する指標は、ユーザー数やセッション数だけではありません。流入量、エンゲージメント、キーイベント数を同時に確認し、量と質を分けて判断します。

横にスクロールして表全体を確認できます

見る指標 把握できる事実 改善仮説の例
ユーザー数・セッション数 流入規模の増減 広告配信量、検索順位、メール配信数の変化が影響している可能性がある
エンゲージメント率 訪問後に一定の関与があった割合 検索意図とランディングページの内容が合っていない可能性がある
キーイベント数 問い合わせや資料請求などの完了回数 訴求内容、導線、フォームに改善余地がある可能性がある
セッション キーイベント率 訪問に対する成果発生の割合 流入量が少なくても商談につながりやすいチャネルがある可能性がある

たとえば、自然検索のセッション数は増えている一方でキーイベント率が下がっている場合、流入キーワードの変化、検索意図とコンテンツのずれ、流入ページの訴求不足などを仮説として置けます。この時点では原因を断定せず、次にランディングページとサイト内行動を確認します。

広告流入を確認する場合は、Google広告などの媒体管理画面とGA4で同じ数値になるとは限りません。計測対象、クリック後の判定、帰属条件、更新時点、同意設定の違いを確認したうえで比較します。

サイト内行動で確認するランディングページと導線

集客の次は、流入したユーザーが最初に見たランディングページと、その後の行動を確認します。ランディングページは、ユーザーがセッションの最初に到達したページです。GA4では、流入チャネルとランディングページを掛け合わせることで、どの入口が成果につながっているかを確認できます。ランディングページの定義とレポートの確認方法はGoogle アナリティクス ヘルプのランディングページ レポートを参照してください。

ランディングページで確認する順番

  1. セッション数を確認し、十分な比較対象があるページを抽出します。

  2. キーイベント数とセッション キーイベント率を確認し、成果が出ているページと出ていないページを分けます。

  3. 流入チャネル別に分け、自然検索、広告、メールなどで成果に差があるかを確認します。

  4. ページの訴求、CTA、フォームへの導線、内部リンクの配置を確認し、数値の差を説明できる仮説を立てます。

ページの閲覧数が多いことと、売上に貢献していることは同じではありません。閲覧数が多くても問い合わせにつながらない場合は、流入意図に対して次の行動が設計されていない可能性があります。反対に、流入数が少なくてもキーイベント率が高いページは、広告配信や内部リンクの強化を検討する候補になります。

導線の問題を確認する方法

ランディングページから問い合わせ完了までの間には、サービスページ、料金ページ、事例ページ、資料請求フォームなどが存在します。どこで閲覧や遷移が止まっているかを確認するには、「探索」の経路データ探索を利用します。

経路データ探索では、特定ページを起点に次に閲覧されたページや発生したイベントを確認できます。また、問い合わせ完了を終点に設定し、完了に至ったユーザーが直前にどのページやイベントを経由したかを確認することも可能です。経路データ探索では、ページビューとイベントの両方を用いてユーザー行動を可視化できます。詳細はGoogle アナリティクス ヘルプの経路データ探索で確認できます。

たとえば、サービスページの閲覧数は多いものの、料金ページや導入事例ページへの遷移が少ない場合は、比較・検討に必要な情報へ誘導できていない可能性があります。この場合は、CTAの文言、ページ内リンク、導入効果の説明、事例への導線を見直すというアクションにつなげます。

離脱数だけで判断しない

終了数が多いページを見つけても、直ちに問題と判断することはできません。たとえば、会社概要やアクセス案内を確認して離脱したユーザーが、別のタイミングで問い合わせる場合もあります。ページの役割、流入元、キーイベントへの貢献をあわせて確認します。

判断する際は、「特定ページで終了数が多い」という事実、「CTAが目立たず次の行動が分かりにくい可能性がある」という仮説、「CTAの位置と文言を変更して一定期間比較する」というアクションを分けて記録します。

コンバージョンで確認する問い合わせと資料請求

サイト内行動を確認した後に、問い合わせ、資料請求、見積もり依頼、セミナー申込などのキーイベントを確認します。GA4では、事業にとって重要なイベントをキーイベントとして設定し、流入やページごとの成果を比較できます。

ただし、フォーム送信ボタンのクリックと、送信完了画面の表示では意味が異なります。送信途中のクリックをキーイベントにすると、実際には完了していない件数まで含まれる可能性があります。売上分析に使うキーイベントは、可能な限り「問い合わせが完了した状態」に対応させます。

問い合わせ・資料請求で確認する項目

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 確認する内容 判断時の注意点
キーイベント数 問い合わせ完了や資料請求完了の件数 イベントの重複発火やテスト送信がないか確認する
セッション キーイベント率 訪問数に対する成果発生の割合 流入量が大きく異なるチャネル同士でも比較しやすい
流入元別のキーイベント どのチャネルが成果に寄与したか 帰属モデルや計測条件によって見え方が変わる
ランディングページ別のキーイベント どの入口ページが成果につながったか ページ単体ではなく流入チャネルとの組み合わせで確認する
フォーム到達後の行動 フォーム表示から完了までの状況 フォーム入力開始やエラー表示を計測している場合に確認する

GA4とCRMの数値を照合する際の考え方

GA4のキーイベント数と、HubSpotやSalesforceなどのCRM・SFAに登録されたリード数は一致しない場合があります。これは、GA4がWeb上のイベントを中心に計測するのに対し、CRMは重複判定、営業担当者による確認、無効リードの除外などを経た情報を扱うことがあるためです。

数値に差がある場合は、どちらが正しいかを先に決めるのではなく、次の条件を確認します。

  • GA4のキーイベントが、フォーム完了時に一度だけ発火しているか

  • CRM側で重複、営業対象外、既存顧客、スパムを除外しているか

  • GA4とCRMで集計しているタイムゾーンや更新時点が異なるか

  • 広告クリックから成果までの帰属条件が異なるか

  • 同意取得の状況やブラウザの制限により、GA4側で計測されない行動があるか

同意取得の設定は、GA4で取得・表示されるデータに影響することがあります。特に、ユーザーの同意状況によっては計測データが限定される場合があるため、月ごとの数値を比較する際は、同意バナーやタグ設定を変更していないかも確認します。

売上につながる分析仮説へ変換する

GA4の確認結果は、次のように事実、仮説、判断、アクションに分けると、売上改善に活用しやすくなります。

横にスクロールして表全体を確認できます

区分 記録内容の例
事実 自然検索経由のセッションは増加したが、資料請求完了数は前月と同水準だった
分析・仮説 新たに流入した検索語句と資料請求ページの訴求が一致していない可能性がある
判断 流入の多いランディングページから、比較検討向けコンテンツへの導線を強化する
アクション CTAの文言変更、導入事例への内部リンク追加、変更前後28日間のキーイベント率比較を行う

架空のBtoB企業を例にすると、広告経由のセッション数は多いにもかかわらず資料請求完了率が低い場合、広告文とランディングページの訴求に差があるという仮説を立てられます。一方、自然検索経由で導入事例ページを閲覧したユーザーの資料請求率が高い場合は、事例ページへの導線強化を検討できます。これは架空の例であり、実際の施策判断では自社の商談化率、受注率、営業体制をあわせて確認します。

探索レポートで確認するセグメント別の行動差

標準レポートで全体の傾向を把握した後は、探索レポートでセグメントごとの差を確認します。全体平均では問題が見えなくても、広告経由の新規ユーザー、自然検索経由の再訪ユーザー、特定業界向けページの閲覧ユーザーなどに分けると、改善すべき導線が明確になることがあります。

優先して比較するセグメント

横にスクロールして表全体を確認できます

比較する切り口 確認する行動差 活用の方向性
流入チャネル別 広告、自然検索、メール、参照元ごとのキーイベント率 予算配分や流入後の訴求を見直す
新規・再訪別 初回訪問と再訪問でのページ閲覧や成果の差 初回向けの概要訴求と再訪向けの比較情報を分ける
デバイス別 PCとスマートフォンでのフォーム完了率や離脱状況の差 フォームの入力しやすさや表示速度を見直す
ランディングページ別 入口ページごとの遷移先やキーイベント率の差 内部リンク、CTA、コンテンツ構成を改善する
イベント実行有無別 料金ページ閲覧、事例閲覧、動画再生などの有無による成果差 商談化につながりやすい情報への誘導を強化する

データのしきい値と少数データを確認する

探索レポートでは、プライバシー保護のために一部データがしきい値の対象となり、詳細な数値が表示されないことがあります。また、件数が少ないセグメントは、数件の増減で率が大きく変動します。

そのため、少数のキーイベントだけで広告停止やページ改修を判断するのではなく、対象期間を延ばす、複数期間で傾向を見る、CRM上の有効リードや商談化の状況も確認する、といった対応が必要です。GA4の数値は改善判断の材料であり、単独で結論を出すための数値ではありません。

確認結果を次の改善サイクルへつなげる

探索レポートで行動差を確認したら、最も影響が大きいと考えられる仮説から検証します。たとえば、特定のランディングページで資料請求率が低く、料金ページへの遷移も少ない場合は、料金・導入条件への導線を改善する施策を優先します。

施策を実施した後は、変更日、対象ページ、変更内容、比較期間、確認する指標を記録します。これにより、問い合わせ数の変化が季節性によるものか、施策によるものかを後から検証しやすくなります。

売上改善につながる活用例

売上分析では、数値の増減だけで結論を出さず、確認できた事実、考えられる要因、判断、次のアクションを分けて整理します。特にBtoB企業では、問い合わせから商談、受注までに時間差があるため、売上高だけでなく、流入別の商談化率や顧客別の売上構成比もあわせて確認することが重要です。

分析結果は「数字が下がった」という報告で終わらせず、「どの指標を、誰が、いつまでに改善するか」まで具体化することが売上改善につながります。

流入別の商談化率から広告予算を見直す例

広告費をかけているにもかかわらず受注が増えない場合は、媒体ごとのクリック数や問い合わせ数だけでなく、商談化率と受注率まで確認します。ここでいう商談化率とは、獲得したリードのうち営業商談に進んだ割合です。

まず、広告媒体、自然検索、メールマガジン、紹介などの流入経路ごとに、リード数、商談数、受注数、売上高を並べます。広告媒体の管理画面、GA4、CRMでは集計対象や更新時点、コンバージョンの帰属条件が異なる場合があるため、同じ数値として断定せず、計測条件を確認したうえで比較します。

横にスクロールして表全体を確認できます

流入経路 リード数 商談数 商談化率 受注数 確認できた事実 次のアクション
検索広告 120件 18件 15% 3件 リード数は多いが、商談化率が低い 検索語句、広告文、問い合わせフォームの訴求を見直す
自然検索 60件 18件 30% 4件 リード数は少ないが、商談化率が高い 商談につながったテーマのコンテンツを拡充する
紹介 20件 10件 50% 4件 商談化率と受注数が比較的高い 既存顧客への紹介依頼の方法を整備する

たとえば、検索広告のリード数が多くても、営業担当者による確認の結果、対象外企業からの問い合わせが多いことがあります。この場合、「広告費を増やすべきではない」という結論を急ぐのではなく、配信キーワード、地域、業種、役職などのターゲティング条件を見直す仮説を立てます。

判断する際は、商談化率だけでなく、受注までの平均期間や受注単価も確認します。短期のリード獲得単価が低くても、商談化率や受注率が低ければ、売上につながる広告投資とは限りません。

ページ別の離脱率からコンテンツを改善する例

Webサイト経由の問い合わせが減少した場合は、流入数だけでなく、どのページで利用者が離脱しているかを確認します。ただし、離脱率だけでページの良し悪しを判断することはできません。閲覧後に電話で問い合わせる、ブックマークして後日に再訪するなど、計測上は把握しにくい行動もあるためです。

GA4を用いる場合は、分析前に対象KPI、イベントとキーイベントの定義、比較期間、プロパティのタイムゾーン、同意設定による計測への影響、しきい値や欠損の有無を確認します。そのうえで、集客、ランディングページ、ページ内行動、キーイベントの順に確認すると、改善箇所を絞り込みやすくなります。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 確認できた事実の例 考えられる仮説 改善アクションの例
ランディングページ別の流入 特定の記事に検索流入が集中している 検索意図に対する入口として機能している 記事内に関連サービスや資料請求への導線を設ける
スクロール・クリック行動 料金や導入事例のリンクがほとんどクリックされていない リンクの位置や文言が利用者の関心と合っていない 課題別の案内文に変更し、本文中にも導線を追加する
フォーム到達後の離脱 フォーム表示数に比べて送信数が少ない 入力項目が多い、または問い合わせ後の流れが不明確 必須項目を見直し、返信目安や相談内容を明記する

改善案を実行する際は、一度に多くの要素を変更しないことが重要です。見出し、CTAボタン、フォーム項目を同時に変更すると、どの変更が結果に影響したのか判断しにくくなります。変更内容、公開日、対象ページ、確認するKPIを記録し、比較可能な期間を設けます。

「ページの閲覧数は多いが問い合わせが少ない」という事実から、導線、訴求、フォーム、流入キーワードのどこに課題があるかを順番に検証します。

顧客別の売上構成比から営業施策を見直す例

売上高が前年同月比で伸びていても、一部の顧客への依存度が高まっている場合は注意が必要です。顧客別の売上高、売上構成比、前年同期比、受注件数、平均受注単価を確認すると、売上を支えている顧客層と対応が必要な顧客層を把握できます。

たとえば、上位顧客の売上構成比が高い場合は、既存顧客への提案強化が有効な可能性があります。一方で、契約更新の有無や発注頻度の変化によって売上が大きく変動する可能性もあるため、新規顧客の獲得状況も並行して確認します。

横にスクロールして表全体を確認できます

顧客区分 確認するデータ 判断の観点 営業施策の例
上位顧客 売上構成比、利用サービス、更新時期 売上依存度と継続リスクを確認する 定例提案、利用状況の確認、追加提案を行う
売上が減少した顧客 前年同期比、発注回数、失注理由 一時的な変動か、競合・予算・課題変化によるものかを確認する 担当者へのヒアリングと再提案の優先順位を決める
取引開始直後の顧客 初回受注額、商材、導入目的 継続受注や追加受注の可能性を確認する 導入後フォローと活用提案の時期を設定する

営業施策を決める際は、売上規模だけで顧客の優先順位を決めないようにします。受注確度、利益率、契約更新時期、担当者との接点、将来的な取引拡大の可能性など、営業活動で確認できる情報を組み合わせて判断します。

顧客別分析の目的は、売上の大きい顧客だけを優遇することではなく、維持すべき売上、拡大できる売上、減少を防ぐべき売上を分けて営業資源を配分することです。

架空のBtoB企業における売上分析の例

ここでは、法人向けの業務支援サービスを提供する架空のBtoB企業を例に、売上分析から改善施策を決める流れを示します。以下の数値は説明用の架空のものであり、実績や費用対効果を示すものではありません。

横にスクロールして表全体を確認できます

項目 前月 当月 確認できた事実
Webサイト経由のリード数 80件 95件 リード数は増加している
商談数 24件 19件 リード増加に対して商談数は減少している
商談化率 30% 20% リードの質または初回対応に変化がある可能性がある
受注数 6件 5件 受注数も減少している

このケースでは、「リード数が増えているため集客は成功している」とは判断できません。まず、当月に増加した流入チャネルを確認し、広告の配信条件や検索語句、資料請求ページの訴求に変更がなかったかを確認します。次に、CRMで商談化しなかったリードの業種、企業規模、問い合わせ内容、失注・対象外の理由を整理します。

分析の結果、特定の広告経由で情報収集段階の問い合わせが増えていること、営業担当者ごとの初回連絡までの時間に差があることが確認できたとします。この場合の仮説は、「広告の訴求が検討初期層に偏っている」「初回対応の遅れが商談化率に影響している」の2点です。

横にスクロールして表全体を確認できます

区分 内容
事実 Webサイト経由のリード数は増加した一方、商談化率と受注数は低下した
分析・仮説 増加した流入の検討度が低い、または初回対応の速度・内容にばらつきがある可能性がある
判断 広告予算を一律に増額せず、流入別の商談化率と対象外理由を優先して確認する
アクション 広告文を見直す、フォームに相談目的を追加する、初回連絡の担当と期限を明確にする
検証KPI 流入別商談化率、初回連絡までの時間、商談数、受注率

施策実施後は、変更前後で比較できる期間を設定し、担当者、実施日、変更内容を記録します。季節要因、大型連休、営業日数、キャンペーン実施の有無なども売上や商談数に影響するため、数値変化を単一の施策効果と決めつけないことが必要です。

売上改善の実務では、事実を確認し、仮説を置き、優先順位を決め、小さく実行して検証する流れを継続することが重要です。

売上分析の実務用確認テンプレート

売上分析では、数値を確認するだけでは改善につながりません。まず、確認できた事実と、そこから考えられる仮説を分けて記録します。次に、判断が必要な論点を整理し、担当者、期限、次のアクションを明確にします。

数値の変化、変化した理由の仮説、実施する施策を同じ記録に残すことで、担当者が変わっても分析と改善を継続しやすくなります。

週次で確認する項目

週次では、直近の売上変化を早期に把握し、営業活動、広告配信、Webサイトの導線などに問題がないかを確認します。日別の増減だけで判断せず、前週、前年同週、直近4週間の平均など、比較基準をそろえることが重要です。

週次確認テンプレート

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 確認する数値 確認の観点 記録する内容
売上高 週次売上高、前週比、前年同週比 一時的な大型受注か、全体的な増減かを確認する 変化の要因として確認できた事実
受注件数 受注件数、失注件数、継続契約件数 売上高の変化が件数によるものかを確認する 受注・失注が増減した顧客層や商材
顧客単価 平均受注単価、中央値、商材別単価 値引き、大口案件、契約プランの構成変化を確認する 単価変化の背景と確認が必要な事項
商談の進捗 新規商談数、提案数、受注率、商談期間 将来の売上につながる案件が不足していないかを確認する 停滞案件、受注見込み案件、対応期限
集客・問い合わせ 問い合わせ数、資料請求数、電話件数、流入別件数 リード獲得数の急減や流入構成の変化を確認する 変化したチャネル、ページ、キャンペーン

たとえば、売上高が前週より増加していても、特定顧客の大型受注だけが要因であれば、通常の営業活動が改善したとは限りません。この場合は、「売上高は増加した」という事実と、「新規商談の創出は横ばいである」という事実を分けて記録します。

週次の記録例

横にスクロールして表全体を確認できます

区分 記録内容
事実 今週の受注件数は前週より増加したが、増加分の大半は既存顧客からの追加発注だった。
仮説 新規顧客向けの商談数が増えていないため、翌月以降の新規売上は伸びにくい可能性がある。
判断 新規商談数を増やす施策を優先し、既存顧客向け施策とは分けて管理する。
アクション 営業担当者は停滞中の見込み顧客へ連絡し、マーケティング担当者は問い合わせにつながった流入チャネルを確認する。

月次で確認する項目

月次では、週次では見えにくい傾向や、予算・目標に対する進捗を確認します。月ごとの営業日数、季節要因、キャンペーン実施の有無などを踏まえ、単月の数値だけで評価しないようにします。

月次確認テンプレート

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 主な指標 分析のポイント 改善判断の例
予実進捗 売上目標、実績、達成率、差額 目標未達の原因を件数・単価・受注率に分解する 不足分をどの顧客層・商材・チャネルで補うかを決める
売上構成 商品別、顧客別、地域別、営業担当者別の売上構成比 特定の商品や顧客への依存度を確認する 伸長領域への営業工数配分や提案内容を見直す
営業プロセス リード数、商談数、受注件数、受注率、平均商談期間 どの段階で案件が減少しているかを確認する 初回商談、提案、見積もりなどの対応を改善する
集客チャネル 自然検索、広告、メール、紹介、展示会などの流入別成果 流入数だけでなく、商談化率や受注率まで確認する 成果に対して費用や工数が見合わない施策を見直す
Webサイトの成果 問い合わせ、資料請求、主要ページの閲覧、離脱傾向 コンバージョンに至る導線と途中離脱の多いページを確認する 訴求、導線、フォーム、コンテンツの優先順位を決める
既存顧客 継続率、解約率、追加受注率、休眠顧客数 新規売上と既存顧客売上を分けて把握する フォロー対象の顧客と提案内容を決める

GA4、広告媒体、CRMやSFAの数値を月次で確認する際は、同じ名称の指標でも数値が一致するとは限りません。計測対象、集計期間、タイムゾーン、更新時点、広告の帰属条件、同意設定の影響、重複除外の方法などを確認したうえで比較します。

数値の差異を誤りと断定するのではなく、各ツールの計測条件を確認してから判断することが重要です。

月次レビューで確認する判断事項

横にスクロールして表全体を確認できます

確認する論点 判断に必要な情報 次のアクション
売上未達の主因は何か 受注件数、顧客単価、受注率、失注理由、案件の進捗 最も影響の大きい要因に対する改善施策を決める
優先すべき顧客層はどこか 顧客別売上、利益率、継続率、商談化率、受注率 営業リスト、提案内容、フォロー頻度を見直す
見直すべき集客施策はあるか 流入別の問い合わせ数、商談化率、受注率、費用、工数 予算配分、配信内容、SEOコンテンツ、メール施策を調整する
Webサイトの改善箇所はどこか ランディングページ、遷移、フォーム到達、離脱傾向、キーイベント 改善対象ページと検証する指標を設定する

改善判断に必要な記録項目

分析結果を改善につなげるためには、「売上が下がった」「問い合わせが増えた」といった結果だけで終わらせないことが必要です。分析の対象期間、比較対象、確認したデータ、判断した理由を残し、次回の検証に使える状態にします。

改善管理テンプレート

横にスクロールして表全体を確認できます

記録項目 記入内容 記入時の注意点
確認日 分析を実施した日付 データ更新前後で数値が変わる可能性がある場合は、その時点も記録する
対象期間 当月、前月、前年同月、キャンペーン実施期間など 比較期間の営業日数や季節性の違いを確認する
対象KPI 売上高、受注件数、商談数、受注率、問い合わせ数など 改善の目的に直結する指標を優先する
確認した事実 数値の増減、構成比の変化、顧客や商材の傾向 推測を混ぜず、確認できた内容だけを記載する
仮説 数値が変化した理由として考えられる要因 事実と区別し、検証方法もあわせて記録する
判断 継続、拡大、停止、改善、追加調査などの意思決定 判断に至った根拠となる数値を明記する
アクション 実施内容、担当者、期限、確認する指標 誰が何をいつまでに行うかを具体化する
検証結果 施策実施後の数値変化と想定との差 施策以外の影響を受けていないかも確認する

GA4を参照する場合に残す確認事項

GA4のデータを売上分析に利用する場合は、レポートを見る前に目的と対象KPIを明確にします。たとえば、問い合わせ増加が目的であれば、セッション数だけでなく、問い合わせ完了に設定したキーイベント、フォーム到達、流入チャネル別の行動を確認します。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 記録する内容
分析目的 例:問い合わせ数の減少要因を把握し、商談につながる流入を増やす。
対象KPI 例:問い合わせ完了数、フォーム到達数、商談化率、受注率。
イベントとキーイベント どのイベントを問い合わせ完了や資料請求完了として扱うかを記録する。
比較期間 前月、前年同月、施策実施前後など、比較する期間を明記する。
集計条件 プロパティのタイムゾーン、対象ページ、対象ユーザー、除外条件を確認する。
データ上の注意点 同意設定、計測漏れ、データのしきい値、欠損、内部アクセス除外の有無を記録する。

確認は、集客、ページ、サイト内行動、コンバージョンの順序で進めると整理しやすくなります。流入が減ったのか、特定ページで離脱が増えたのか、フォーム到達後に完了しなくなったのかを切り分けます。そのうえで、数値の変化を改善仮説へつなげ、検証する施策を決めます。

アクション管理の記入例

横にスクロールして表全体を確認できます

項目 記入例
事実 自然検索からの問い合わせ完了数は前月より減少した。一方で、主要サービスページの閲覧数に大きな変化はなかった。
仮説 サービスページから問い合わせフォームまでの導線、またはフォーム入力時の負担が影響している可能性がある。
判断 流入数を増やす施策より先に、サービスページからフォーム完了までの導線を確認する。
アクション Web担当者がフォーム到達数とフォーム完了数を確認し、必要に応じて導線や入力項目の改善案を作成する。
期限 次回の週次確認日までに調査結果を共有する。

売上分析の記録は、数値を報告するためではなく、次に実行する改善施策を決め、その結果を検証するために残します。週次では異常や変化を早く見つけ、月次では構造的な課題と施策の優先順位を判断する運用にすると、売上改善につながる分析を継続しやすくなります。

売上分析でよくある質問

Q売上分析はどのくらいの頻度で行うべきか

A売上分析の頻度は、商材の購入周期、営業プロセスの長さ、集客施策の更新頻度によって決めます。すべての指標を毎日確認する必要はありませんが、変化を早く捉える指標と、一定期間の傾向で判断する指標を分けることが重要です。

短期的な数値の変動だけで施策の成否を判断せず、確認頻度に応じた比較期間を設定することが基本です。たとえば、平日と休日で問い合わせ数が変わりやすい場合は前日比較だけでなく、前年同月や直近4週間などの期間比較も行います。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認頻度 主な確認項目 確認する目的 判断時の注意点
日次 売上高、受注件数、問い合わせ数、広告費 急な減少、計測停止、在庫切れなどの異常を早期に把握する 単日の増減のみで予算変更や営業方針の変更を決めない
週次 商談数、受注率、流入別の問い合わせ数、施策別の反応 営業活動や集客施策の進捗を確認する 祝日、展示会、キャンペーンなどの一時的な要因を記録する
月次 予実、商品別売上、顧客別売上、チャネル別売上、顧客単価 売上構造の変化を把握し、改善施策の優先順位を決める 受注計上月、請求月、入金月の基準を混同しない
四半期ごと 顧客構成、継続率、失注理由、営業プロセス別の転換率 事業計画や営業戦略の見直しにつなげる 短期施策の結果と中長期施策の効果を分けて評価する

まず、売上や受注件数の変化という事実を確認します。次に、特定の流入チャネル、商品、顧客層、営業担当者に変化が集中しているかを分析します。そのうえで、「広告配信量が減ったため問い合わせ数が減少した可能性がある」「既存顧客の発注時期がずれた可能性がある」といった仮説を置きます。

仮説だけで結論を出さず、担当者、確認期限、次の行動を決めることが大切です。たとえば、問い合わせ数が減少した場合は、Web担当者が流入数とフォーム送信数を確認し、営業担当者が商談化状況を確認する、といった役割分担を行います。

QExcelだけで売上分析はできるか

AExcelだけでも、売上推移、商品別売上、顧客別売上、担当者別売上、予実、構成比、前年比較など、基本的な売上分析は行えます。販売データの件数が一定規模に収まり、更新作業を担当者が継続できる体制であれば、ピボットテーブルやグラフを使って実務に役立つ分析が可能です。

特に、受注日、顧客名、商品名、売上金額、数量、営業担当者、流入元などの項目が整っていれば、条件を切り替えながら傾向を確認できます。分析用の表では、入力用データと集計用シートを分け、元データを上書きしない運用にすると確認しやすくなります。

横にスクロールして表全体を確認できます

分析テーマ Excelでの主な方法 確認できる内容
売上推移 ピボットテーブル、折れ線グラフ 月別・週別の売上高、受注件数、季節的な変動
商品別分析 ピボットテーブル、並べ替え、構成比の計算 売上を支える商品、伸びている商品、販売が減少した商品
顧客別分析 顧客名ごとの集計、ランキング、条件付き書式 売上上位顧客、取引額の変化、顧客別の依存度
予実分析 計画値と実績値の比較、差異率の計算 目標との差額、未達要因を確認すべき部門や商材
営業プロセス分析 商談段階別の件数集計、受注率の計算 商談数不足、提案後の失注増加などの課題

一方で、データ量が増え、複数部門が同じ数値を確認する場合は、Excelだけでは更新漏れやファイルの重複が起こりやすくなります。また、営業支援ツール、会計システム、広告媒体、GA4などのデータを手作業で統合する場合、転記ミスや更新時点のずれにも注意が必要です。

Excelで分析できるかどうかは機能の問題だけではなく、正しいデータを継続して更新し、担当者間で同じ定義を共有できるかで判断します。売上高の定義、キャンセルの扱い、税抜・税込、受注日・売上計上日などを事前にそろえてください。

Excelで始める場合は、まず月次売上、商品別売上、顧客別売上、流入別の問い合わせ数など、意思決定に直結する集計から作成します。その後、更新に時間がかかる、データが一致しない、担当者ごとに異なるファイルを使っているといった課題が出てきた段階で、CRMやBIツールとの連携を検討します。

QGA4のコンバージョン数とCRMのリード数が違う場合はどうするか

AGA4のコンバージョン数とCRMのリード数が一致しないことは珍しくありません。両者は取得しているデータ、計測する時点、重複の扱い、帰属条件などが異なるためです。数値の差をすぐに計測不良と判断せず、まず比較する数値の定義をそろえてください。

横にスクロールして表全体を確認できます

確認項目 GA4で確認する内容 CRMで確認する内容
対象となる行動 フォーム送信、資料請求完了、電話タップなど、キーイベントに設定した行動 問い合わせとして登録された情報、営業が有効と判断したリード
重複の扱い 同一ユーザーによる複数回のイベントが計上される場合がある メールアドレスや会社名を基準に統合・重複除外している場合がある
計上時点 Webサイト上でイベントが発生した時点 フォーム情報が連携・登録・確認された時点
集計期間 GA4のプロパティ設定に基づく期間とタイムゾーン CRMに登録された日時、営業日、更新日時などの集計基準
除外要因 同意設定、ブラウザ設定、タグの発火条件、計測しきい値などの影響 迷惑問い合わせの除外、入力不備、既存顧客の除外、手動登録の有無

確認は、次の順序で進めると原因を整理しやすくなります。

  1. GA4で、何をキーイベントとしているかを確認します。フォーム到達ではなくフォーム送信完了を計測しているか、同じ完了ページを複数のフォームで使用していないかを確認します。

  2. GA4とCRMで、比較する期間、タイムゾーン、集計対象をそろえます。たとえば、GA4では送信日、CRMでは営業担当者が確認した日を集計している場合、日別の数値は一致しにくくなります。

  3. CRMで、重複、既存顧客、営業対象外、迷惑問い合わせなどをどのように扱っているかを確認します。

  4. フォーム送信からCRM登録までの連携状況を確認します。特定のフォームだけ登録されていない、必須項目の不足で登録できないといった事実がないかを確認します。

  5. 差異が大きい日や特定の流入元を抽出し、広告配信、フォーム改修、タグ設定変更などの実施履歴と照合します。

GA4では、目的、対象KPI、イベントとキーイベントの定義を明確にしたうえで確認します。あわせて、比較期間、プロパティのタイムゾーン、同意設定による計測への影響、データのしきい値や欠損の有無も確認対象に含めます。

GA4はWeb上で起きた行動を把握するためのデータであり、CRMは営業上の見込み顧客や商談の状況を管理するためのデータです。両者の数値を同一視するのではなく、GA4では集客・ページ・行動・コンバージョンの変化を確認し、CRMでは有効リード化、商談化、受注化の状況を確認します。

たとえば、GA4上で特定の広告流入からのフォーム送信が増えている一方で、CRM上の有効リードが増えていない場合、広告訴求と問い合わせ内容が合っていない、入力内容が不十分な問い合わせが増えている、重複登録が多いといった仮説が考えられます。ただし、これは確認前の仮説です。広告媒体の管理画面、GA4、CRMそれぞれの計測条件、更新時点、帰属条件を確認したうえで、改善の要否を判断します。

差異を確認した後は、「どのフォームで差異が出ているか」「どの流入元で有効リード率が低いか」「いつから差異が発生したか」を記録します。そのうえで、Web担当者、広告担当者、営業担当者がそれぞれ確認する項目と期限を決めると、売上改善につながる対応を進めやすくなります。

まとめ

売上分析では、売上高だけを見るのではなく、受注件数、顧客単価、商談数、受注率、流入チャネルなどを分けて確認することが重要です。売上が変化した事実を把握したうえで、どの指標が要因になっているのかを整理します。

Excelのピボットテーブルやグラフを使えば、商品別、顧客別、チャネル別の傾向を比較できます。さらに、GA4の集客・行動・コンバージョンのデータと、CRMや営業管理の受注データを照合することで、問い合わせから受注までの課題を確認できます。

分析の目的は、数値を集計することではなく、改善する施策を決めることです。週次・月次で同じ指標を確認し、仮説、担当者、期限、次のアクションを記録すると、売上改善につながる判断を継続しやすくなります。

参考資料