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知見・解説

アトリビューションとは?MMMとの違いと成果の見方・改善判断を解説

アトリビューションの基本、GA4での見方、MMMや増分効果検証との違いを解説。BtoBの問い合わせから受注までを踏まえた改善判断の手順を示します。

展示会・検索広告・自然検索の接点から成果の貢献度を検討する担当者を描いたGrowthBriefの記事画像

アトリビューションは、広告や自然検索などの顧客接点に、問い合わせや受注への貢献度を割り当てる考え方です。ただし、貢献度だけでは、広告を止めた場合に失われる成果は分かりません。BtoBでは、問い合わせ・商談・受注を分け、接点、費用、顧客管理データをつないで評価します。この記事では、GA4のラストクリックとデータドリブンの読み方、集計データを使うMMMとの違いを整理します。展示会・検索広告・自然検索を含む事例を通じて、計測漏れや受注までの時間差を確認し、商談化率・受注率も踏まえて改善施策を選ぶ手順を示します。

アトリビューションとは

顧客接点に成果の貢献度を割り当てる考え方

アトリビューションとは、問い合わせなどの成果に至るまでに記録された接点へ、一定のルールに沿って貢献度を割り当てる考え方です。たとえば、見込み客が検索広告からサイトを訪れ、後日、自然検索で再訪して問い合わせた場合、どちらの接点に成果を割り当てるかを決めます。この割り当て方を「アトリビューションモデル」と呼びます。Google アナリティクスのアトリビューションに関する公式ヘルプでも、成果に至る経路上の接点へ貢献度を割り当てるものとして説明しています。

検索広告から自然検索を経て問い合わせた例。ラストクリックは最後の自然検索に全貢献を割り当て、データドリブンは両接点を評価する。どちらも広告の増分効果は示さない。

図:同じ接点の経路でも、モデルによって貢献度の割り当て方が変わる。

割り当てられた貢献度は、その接点が成果を生んだと証明する数値ではありません。接点を持たなかった場合にも同じ成果が起きたかどうかは、接点の履歴だけでは判断できません。Google 広告のコンバージョンリフトに関する公式ヘルプも、通常のアトリビューションによる成果と、広告がなければ発生しなかった増分の成果を区別しています。

BtoBの長い検討期間で見る理由と限界

BtoBでは、担当者が情報を集めてから社内で比較・相談し、問い合わせや商談に進むことがあります。最後の訪問だけを見ると、それ以前に接した広告や記事の役割を見落とす可能性があるため、記録できた経路を確認します。ただし、検討期間が長いほど、別の端末からの訪問や展示会での会話など、同じ案件の接点としてつながらない情報も生じます。

そのため、アトリビューションの結果を読む際は、どの成果について、どの期間に記録された接点へ貢献度を割り当てたかを明確にします。問い合わせまでの経路から受注への貢献をそのまま結論づけず、商談や受注の記録と照らして確認します。

BtoBで成果を見る前にそろえるデータ

接点ごとの貢献度を見る前に、何を成果と数え、どの期間の接点を対象にするかを決めます。問い合わせ件数と受注件数を混ぜたり、広告と営業で集計期間を変えたりすると、同じ施策でも評価が食い違います。

問い合わせ・商談・受注を分けて定義する

まず、問い合わせ、商談、受注の判定条件を営業部門とマーケティング部門でそろえます。例えば、資料請求を問い合わせに含めるか、営業担当者が対応を開始した時点を商談とするかによって、件数は変わります。

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成果 事前に決めること 記録する日付
問い合わせ 対象となるフォーム送信や電話連絡の種類、テスト送信の除外条件 問い合わせの受付日
商談 営業案件を作成する条件、同一企業からの複数案件の数え方 商談の作成日
受注 受注の確定条件、失注後に再開した案件の扱い 受注の確定日

各成果の件数に加え、問い合わせから商談、商談から受注への移行を追える状態にします。当月の問い合わせと当月の受注は、必ずしも同じ案件ではありません。両者を比較するときは、案件IDで対応関係を確認します。

接点、費用、CRMのデータをつなぐ

次に、ウェブ上の接点、施策の費用、顧客管理システム(CRM)の案件情報を、それぞれ確認します。接点には発生日と参照元・メディア・キャンペーン名を、費用には対象施策と計上期間を、CRMには問い合わせID・案件ID・進捗日を残します。広告やメールのリンクに付けるUTMパラメータは、Google アナリティクスのキャンペーンURL設定に関する説明を参考に命名規則を統一します。

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データ 確認する項目 つなぐ際の注意点
接点 接点の日付、参照元、メディア、キャンペーン名 展示会などのオフライン接点は、参加日と施策名を別途記録する
費用 施策名、対象期間、広告費や出展費 接点と費用で施策名の粒度をそろえる
CRM 問い合わせID、案件ID、進捗状況、各段階の日付 一つの問い合わせから複数案件が生じる場合の対応関係を残す

ウェブの行動とCRM上の案件を結ぶには、両方で対応を確認できる識別子が必要です。Google アナリティクスも、オンラインとオフラインのデータを関連付ける際には共有IDが必要だと説明しています。詳しくはGoogle アナリティクスのオンライン・オフラインデータの結合に関する説明を確認してください。対応するIDがない接点は、特定の受注案件につながったと断定せず、集計できる範囲を明示します。

計測漏れ・重複・評価期間を点検する

分析前に、フォーム送信が記録されない場合や、一度の送信が複数回記録される場合がないかを確認します。CRMでは、同じ企業・案件が別の表記やIDで重複していないかも点検します。参照元が不明な接点は推測で広告や自然検索に振り分けず、不明のまま件数を把握します。

期間は「成果を集計する期間」と「成果からさかのぼって接点を見る期間」を分けて設定します。後者はルックバック期間と呼ばれ、設定によって貢献度の対象となる接点が変わります。GA4で分析する場合は、Google アナリティクスのアトリビューション設定に関する説明を参照し、実際の設定を記録します。商談や受注まで時間がかかる場合は、直近に獲得した問い合わせを未受注というだけで失敗と扱わず、どの時点まで進捗を確認したかを併記します。

GA4のアトリビューションをどう読むか

GA4では、問い合わせフォームの送信などを「キーイベント」に設定し、その発生に至る接点へ貢献度を割り当てます。レポートを読むときは、まず対象のキーイベントを確認します。表示される貢献度は、計測された経路に対する割り当てであり、その施策がなければ問い合わせが発生しなかったことを証明する数値ではありません。

ラストクリックとデータドリブンの違い

GA4のアトリビューションレポートで利用できるモデルは、データドリブン、有料チャネルとオーガニックチャネルのラストクリック、Googleの有料チャネルのラストクリックです。現在の選択肢はGoogle アナリティクス ヘルプのアトリビューションのスタートガイドで確認できます。

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モデル 貢献度の割り当て方 読むときの着眼点
有料チャネルとオーガニックチャネルのラストクリック キーイベント前の最後の対象接点に、貢献度をすべて割り当てます。 問い合わせの直前に利用されたチャネルを確認できます。先行する接点の役割は、この数値だけでは読み取れません。
データドリブン キーイベントに至った経路と至らなかった経路などのデータを用い、複数の接点に貢献度を割り当てます。 最後の接点以外にも貢献度が付く場合があります。割り当てはキーイベントやプロパティのデータによって異なります。
Googleの有料チャネルのラストクリック 対象期間内にGoogle 広告のクリックがあれば、最後のGoogle 広告チャネルに貢献度を割り当てます。該当するクリックがなければ、有料チャネルとオーガニックチャネルのラストクリックに切り替わります。 オーガニック検索を含む全チャネルのラストクリックとは、割り当て対象が異なる点に注意します。

たとえば、検索広告から訪問した後、自然検索から再訪して問い合わせた場合、有料チャネルとオーガニックチャネルのラストクリックでは自然検索に貢献度が割り当てられます。データドリブンでは、計測された経路などに応じて検索広告にも貢献度が付く可能性があります。なお、ファーストクリック、線形、減衰、接点ベースは、過去に提供されたモデルであり、現行の選択肢には含まれません。

モデル間の差を解釈するときの注意点

まず、GA4の「広告」内にあるアトリビューションのレポートで、同じキーイベント、参照元・メディアまたはチャネル、レポート期間を指定して比較します。モデルを変えて数値が動いた場合は、問い合わせの件数が増減したのではなく、計測されたキーイベントの貢献度を、どの接点に割り当てるかが変わったと読みます。

次に、「アトリビューション経路」で接点の順序とキーイベントまでの日数を確認します。ここに表示されるのは、キーイベントが発生した経路です。接点の順序を見れば、たとえば自然検索が問い合わせ直前に現れやすいのか、早い段階にも現れるのかを区別できます。レポートに表示される経路と指標については、Google アナリティクス ヘルプのキーイベントのアトリビューション パス レポートを参照してください。

比較時には、キーイベントの「ルックバック ウィンドウ」も確認します。これは、キーイベントの発生から何日前までの接点を貢献度の対象とするかを決める設定です。また、レポート期間をキーイベントの発生日で見るか、接点が発生した日で見るかによって、期間内に含まれる数値の意味が変わります。設定の影響範囲はGoogle アナリティクス ヘルプのアトリビューション設定で確認できます。

最後に、見ているディメンションがキーイベントに対する「参照元・メディア」なのか、「セッションの参照元・メディア」なのかを確かめます。前者は設定したレポート用アトリビューションモデルの影響を受けますが、後者はセッション単位の流入元です。異なる単位の数値を並べ、モデル変更による差として解釈しないようにします。

アトリビューションとMMM・増分効果検証の違い

アトリビューションは、観測できた顧客接点に成果の貢献度を配分します。一方、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)は集計データから施策と成果の関係を推定し、増分効果検証は施策の有無によって成果がどれだけ変わるかを調べます。接点に成果が割り当てられたことと、その接点がなければ成果が生じなかったことは別です。Google 広告のコンバージョン リフトに関する説明でも、通常のアトリビューションによる成果と増分コンバージョンは区別されています。

個別の接点と集計データで分析単位が異なる

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手法 主な分析単位 答えようとする問い 主な制約
アトリビューション 計測できた顧客の接点と成果 成果に至る経路上の接点へ、どのように貢献度を配分するか 計測できない接点は経路に含められず、配分結果だけでは増分効果を証明できない
MMM 期間や地域ごとに集計した施策、費用、成果など 施策の実施量や予算の違いが、成果とどう関係するか 推定結果はデータの変動、モデルの設定、交絡要因の扱いに左右される
増分効果検証 施策を実施する群と実施しない群など 施策によって追加で生じた成果はどれだけか 比較可能な群、十分な観測数、成果が現れるまでの観測期間が必要になる

例えば、展示会の後に検索広告をクリックして問い合わせた企業があっても、接点経路だけでは検索広告が問い合わせを新たに生んだかは分かりません。アトリビューションは接点の評価に役立ちますが、施策を実施しなかった場合との比較は別に検討します。

MMMに必要なデータと因果推論上の前提

MMMを検討するときは、まず同じ期間・集計単位で、チャネル別の広告費や配信量、問い合わせ・受注などの成果、成果に影響し得る外部要因を用意します。BtoBでは広告への接触から受注まで時間が空くため、どの時点の施策と成果を対応させるかも決める必要があります。GoogleのMMM「Meridian」のデータ準備ガイドでは、成果指標とメディア指標を地域・期間に沿って集計する方法が説明されています。

ただし、集計データの相関だけで因果関係は確定しません。例えば需要が高まる時期に広告費も増やした場合、需要の変化を適切に扱えなければ、広告の効果を過大に見積もる可能性があります。また、複数チャネルの予算が常に同時に増減していると、それぞれの効果を分けて推定しにくくなります。MMMの予算配分に関する推定値は、重要な交絡要因を扱えているかなど、因果推論上の前提を踏まえて読む必要があります。予測の当てはまりがよいことだけでは、その前提は確認できません。詳しくはGoogleによるMMMの因果推論上の説明を参照してください。

判断したい問いに応じて手法を選ぶ

どの接点が問い合わせや商談に至る経路で評価されているかを知りたいなら、アトリビューションを使います。複数チャネルの予算配分を検討したいなら、集計データの量と変動を確かめたうえでMMMを検討します。特定の広告施策を実施したことで成果が増えたかを知りたいなら、実施群と比較群を設ける増分効果検証が問いに直接対応します。

これらは代替関係ではありません。接点経路から改善候補を見つけ、実施可能な施策について増分効果を検証し、その結果をMMMの推定と照らし合わせる使い方もできます。ただし、検証対象の施策や成果指標、対象期間が異なる数値を、そのまま一致・不一致で判断しないようにします。

分析を改善判断につなげる手順

まず、同じ対象期間のアトリビューション結果と営業案件の進捗を並べ、確認できた事実と改善仮説を分けます。接点に配分された貢献度だけで、施策を増減する判断はしません。問い合わせ後に商談や受注へ進んだか、判断に必要なデータがそろっているかを確認します。

貢献度と商談化率・受注率を合わせて見る

チャネル別に、貢献度に加えて問い合わせ件数、商談化率、受注率、費用を確認します。商談化率は「商談に進んだ問い合わせ件数÷問い合わせ件数」、受注率は「受注した商談件数÷商談件数」など、社内で定めた母数と定義を明記します。集計単位が異なる指標を並べる場合は、その違いも示してください。

アトリビューションでは、モデルによって一つの成果が複数の接点に分配され、小数で表示されることがあります。そのため、Google アナリティクスのアトリビューション経路レポートに関する公式ヘルプを踏まえ、配分後の数値を実際の問い合わせ人数と同一視しないようにします。商談化率・受注率を計算するときは、CRMで重複を除いた問い合わせや商談を母数に使い、接点が重なるチャネルの成果を単純に合算しません。

BtoBでは受注までに時間がかかるため、集計日時点で進行中の案件を失注と扱わないことも重要です。問い合わせ月ごとに案件をまとめ、商談・受注へ進むまでの観察期間が十分にある集団と、まだ進行中の集団を分けて見ます。

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確認する項目 改善判断に使う見方 注意点
接点への貢献度 成果に至る経路で、どの施策が接点になっているかを確認する 貢献度の高さを、施策がなければ失われた成果の数と解釈しない
問い合わせ・商談化率 獲得した問い合わせが、営業対象として商談に進んでいるかを確認する 対象期間、問い合わせの定義、重複除外の方法をそろえる
受注率・受注額 十分な観察期間を経た案件について、最終的な成果を確認する 進行中の案件と失注案件を分け、未確定の売上を受注額に含めない
施策費用 確認できた成果に対して、継続や変更に必要な費用を見積もる 広告費以外に制作費や運用工数を含めるか、比較前に決める

事実と仮説を分け、施策の優先順位を決める

たとえば「自然検索が商談に至る経路に多く含まれる」は、対象データから確認できる事実です。一方、「記事を増やせば商談が増える」は仮説です。経路上の貢献度だけでは、記事を追加した場合の増分効果までは分かりません。増分効果を確かめたい場合は、施策の有無を比較する検証を別途検討します。広告については、Google 広告のアトリビューションによる成果と増分コンバージョンの違いに関する公式ヘルプでも、両者を区別しています。

優先順位は、成果への関係が確認できるか、変更によって何を確かめられるか、実施に必要な費用と工数はどれくらいかを基に決めます。商談化率が低い施策なら、直ちに停止する前に、流入時の訴求と問い合わせ内容が合っているかを確認します。受注データがまだ不足している施策なら、予算を大きく変更せず、案件の進捗を待つ判断もあります。

データで確認できたこと、まだ確認できないこと、次に試す変更を一つの判断記録に分けて残します。そうすれば、後から成果が変わったときも、何を根拠に施策を変更したかを確認できます。

担当・期限・検証条件を決める

施策を変更すると決めたら、実行担当者、計測担当者、営業案件の確認担当者を決めます。あわせて、いつ変更し、いつデータを確認し、どの結果なら継続・修正・停止を検討するかを、実施前に記録します。受注まで時間がかかる場合は、早期に確認する問い合わせ・商談の指標と、後から確認する受注の指標を分けてください。

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決めること 記録する内容の例
変更と担当 広告運用担当が対象の広告文を変更し、営業担当が問い合わせ後の案件状況を記録する
期限 変更日と最初の確認日を決め、受注の判断は案件が進むまで別の日程で確認する
検証条件 対象チャネル、問い合わせの定義、比較期間、費用の範囲、ほかに変更する施策の有無を記録する
追加確認事項 CRMへの登録漏れ、案件の重複、進行中の商談、営業側で把握した失注理由を確認する
次回判断 確認できた問い合わせ・商談の変化を基に、継続、修正、停止、判断保留のいずれかを決める

比較期間中に複数の施策を同時に変えた場合は、一つの変更だけが結果の原因だと断定できません。変更履歴と未確認の条件を残し、次回の判断で確認します。

架空のBtoB事例で考える

法人向けの産業機器を販売する小規模企業を例に、展示会で出会った見込み顧客が問い合わせに至り、商談を進める場面を考えます。以下の日付と経路は説明用の設定であり、実在する企業の成果や施策効果を示すものではありません。

展示会・検索広告・自然検索の接点を整理する

この例では、展示会で取得した連絡先と問い合わせ情報をCRMで照合できたと仮定します。一方、検索広告と自然検索による訪問は、同じ見込み顧客の行動だと確認できた場合に限り、その顧客の接点として扱います。

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時期 接点・進捗 確認する記録
4月 展示会で担当者と名刺交換する 展示会の接触記録とCRMの連絡先
5月 検索広告から製品ページを訪れる 広告の参照元と訪問記録
6月 自然検索から導入事例を読み、問い合わせる 自然検索の参照元、問い合わせ情報、CRMの連絡先
7月 営業担当者との面談を経て商談になる CRMの商談記録と問い合わせ情報の関連付け

問い合わせ直前の自然検索だけを見れば、展示会や検索広告との接点を見落とします。ただし、訪問者を特定できない記録まで同じ顧客の経路に含めることはできません。確認できた接点と、同一人物か未確認の接点を分けて記録します。

商談から受注までの時間差を考慮する

この顧客は6月に問い合わせ、7月に商談になりましたが、契約するかどうかはまだ決まっていないとします。6月末時点の問い合わせ件数だけで施策を評価すると、後から進む商談や受注を反映できません。一方、7月の商談を受注として数えることもできません。

営業担当者は、問い合わせ情報と商談記録をCRM上で関連付け、商談の進捗と受注日を更新します。マーケティング担当者は10月末に同じ案件を確認し、受注・失注・継続中のいずれかを区別します。継続中なら、受注率の集計に結論を急がず、次の確認日を設定します。

施策変更後に何を検証するか決める

仮に、展示会後の案内メールに導入事例を追加する場合、狙いは「展示会で接触した見込み顧客が、問い合わせ前に必要な情報を確認しやすくすること」です。経路に展示会と自然検索が含まれているだけでは、この変更で問い合わせが増えるとは判断できません。

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担当と期限 追加で確認すること 次回の判断
マーケティング担当者・7月末 展示会の接触記録と問い合わせ情報の照合状況、案内メールの送付対象 接点を追跡できる対象を確定してから、案内メールを変更する
営業担当者・10月末 対象案件の進捗、受注・失注の理由、未決着の案件 商談の状況を更新し、判断に必要な案件が残る場合は確認を続ける
両担当者・11月第1週 変更前後で追跡できた対象、問い合わせ後の商談状況、記録漏れ 案内メールを継続・修正するかを決める。件数が少ない場合は、効果が確定したとは扱わない

アトリビューションとMMMのよくある質問

Qアトリビューションだけで広告の増分効果を判断できるか

A判断できません。アトリビューションは、記録された接点に成果の貢献度を割り当てます。一方、増分効果とは、広告を実施しなかった場合と比べて成果がどれだけ増えたかを指します。貢献度が高くても、その広告がなければ成果が発生しなかったとは証明できません。データドリブン型も含め、貢献度の読み方はGoogle アナリティクスのアトリビューションに関する公式ヘルプで確認できます。

広告による増分を確かめたい場合は、広告を配信する群と配信しない群を比較する方法を検討します。例えばGoogle 広告のコンバージョン リフト測定に関する公式ヘルプでは、対照群を用いた測定方法と利用条件が説明されています。実施できるかは対象となる広告やアカウントの条件を確認してください。

Qデータが少ない場合は何から始めるか

Aまず、分析手法を増やすより、問い合わせから受注までを同じ案件として追える状態を作ります。接点や成果の記録が欠けている段階では、モデルの数値を細かく比較しても、差の理由を判断しにくいためです。優先する作業を、足りないデータごとに整理します。

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確認する状態 最初に行うこと
問い合わせの参照元が不明 流入元と問い合わせ日時を記録し、判別できないものは「不明」のまま残します。
商談・受注と接点がつながらない 顧客管理システム(CRM)の案件と問い合わせを対応付け、商談化日と受注日を記録します。
受注件数が少ない 問い合わせ・商談・受注を分けて推移を確認し、少数の受注だけで施策の優劣を断定しません。

そのうえで、成果の定義、集計期間、参照元の分類、接点をさかのぼる期間をそろえます。記録がない接点は、成果への貢献度を評価できません。データが少ないうちは、数値に加えて案件ごとの接点を確認し、次に検証する施策を絞ります。

QMMMはいつ検討すべきか

Aマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)は、接点ごとの経路を見るだけでは答えられない、複数の施策にまたがる予算配分を検討するときの選択肢です。ただし、導入時期を事業規模だけで決めることはできません。施策別の費用や露出、成果、季節性などを一定の粒度で継続して記録でき、施策と成果の変動を分析できるかを先に確かめます。

MMMは集計された観測データを使うため、広告費と成果が同時に増えていても、それだけで広告が増加の原因とはいえません。分析目的に対してデータと因果関係の仮定が妥当かを検討する必要があります。詳しくはGoogleのMMM「メリディアン」に関する因果推論の解説を参照してください。必要なデータがそろわない場合は、まず記録と集計を整え、予算変更の効果を確かめたい施策については実施可能な比較テストを検討します。

まとめ

アトリビューションは、成果に至るまでの接点に貢献度を割り当てる考え方です。分析前に、問い合わせ・商談・受注の定義と評価期間をそろえ、接点・費用・顧客管理データの計測漏れや重複を確認します。

Google アナリティクス 4のモデル別の数値は、貢献度の配分方法によって変わります。広告がなかった場合との差は示さないため、増分効果を判断するには比較実験などが必要です。MMMは集計データを使う手法で、推定には十分なデータと前提の確認が欠かせません。

担当者は貢献度と商談化率・受注率、受注までの時間差を合わせて見ます。事実と仮説を分けて施策を選び、変更後に見る指標、担当、期限、検証条件を決めましょう。

参考資料